2011年1月7日金曜日

モチベーションのジレンマ Wed Dec 8 14:04:55 2010

企業の情報システム部門においては、奇妙なジレンマがある。

そもそも、ソフトハウス、SIer、ベンダにおいては、IT技術者になりたくて入社するのが一般的であるのに対して、その他の企業においてはIT技術者になりたくて入社する人は希であろう。
企業内における情報システム部門の位置付けは、経営サイドから見たときに高いとは言い難い。
また、相対的な社内権限としても低い。
そのようなことから配属された新人、マネジャ、CIOにおいて、「なりゆきで」的なモチベーションでの仕事に対するスタンスがある。

しかし、一方では情報化、IT化が叫ばれ、経費の対象から投資の対象へと意識の転換を迫られている。

ともあれ、IT化人材についても、時代の流れと不可分である。
情報システム部門においても、時代の流れと切り離して考えることは不可能である。
そして情報システム部門の中にいる人材にとっても不可分なのである。
ざっと、これまでの情報システム部門の役割の流れを追いかけてみよう。

1.導入黎明期ー80年代

経理部電算室なる呼称でスタートした企業が多い。独立した部門になるのは80年代前半。
メーカのホストマシン導入を皮切りに、基幹システムとしての販売管理、在庫管理、人事給与、財務、生産管理、などと来て、すべてはオーダーメードのシステムであることが多かった。また、バブルの影響のせいか、80年代後半にはアウトソーシングしていた計算センタからマシンも運用も引き上げるケースが増えた。

当然情報システム部門は、開発から運用まで幅広く活動するようになる。
私自身の最初のキャリアが計算センタということで、一般に雑誌などで語られる情報システム部門の変遷とは違う部分がある。それは、一時期、80年代前半まではホストマシンのリース代金は高く、保守も大変であったためにかなりのアウトソーシングがあったということである。

情報システム部門としては、メーカの提供する単一アーキテクチャのエンジニアを養成していれば事足りる時代でもあった。
また、80年代前半のようにそれなりに日本経済も落ち着いていて、人材教育にも金が回せた時代でもあり、人材の配置も出来た。しかし、80年代後半になるとバブル経済の影響で優秀な社内人材は他の部署に取られていく。
人事のローテーションも崩されていくのである。

これは不思議なことであるが、日本メーカのホストを入れた企業と外資系メーカのホストを入れた企業とでは情報システムに対するスタンスが違っている。
これは、外資系メーカのホストを入れた企業はそのソフトウェアサービスが整っていなかったがために、自社で開発力をつけ、自力で運用整備をせざるを得なかった。
弊社の開発方法論が100社を超えるユーザ企業に導入されたのもこの時代である。

一方、日本メーカのホストを入れた企業は、手取り足取りのかゆいところに手が届く様なサービス(甘やかし?)によって、自社での開発力、運用整備の力がつかなかった。
これは、90年代以降の情報システム部門のあり方に如実に出ている。

2.90年代前半

ホストマシン保守も運用も社内であるということで、かなりの外注SEを抱える企業が出てきており、一方では分社化も進み始めていた。
同時に、ホストからサーバーマシンへのダウンサイジングという波が来ており、それまでの単一アーキテクチャのエンジニアでは対処できなくなっていく。
ユーザ部門が情報システム部門に相談もせず、メーカ、ベンダと勝手に情報システムを開発、導入し、その成功事例がメディアで喧伝されていく。
この時代、情報システム部門は機能停止に陥っていたとしか言いようのない事態になっていた。

経済環境の変化から、市場は大きく変動しており、企業も対応を変えざるを得なかった。
その影響として、情報システム部門は増大する基幹システムのメンテナンスと外注要員の管理に追われ、満足な提案を経営サイドに出来なくなっていた。

時代は「分散」、「ダウンサイジング」が主流であり、企業内LANが導入され、ネットワークエンジニアが創出されていった時代である。
ホストのシステムを保守するエンジニアと、「ダウンサイジングされた」システムのエンジニアとが同居しながら、お互いに理解し合えぬまま、現在に至っているのが実情であろう。

また、日本経済の後退と共に新卒採用が控えられていった時代であり、無論、情報システム部門に新卒が配属されることもなくなっており、当然、外注に頼る構図が出来ていった。
情報システムの整備が企業の売上を伸ばすわけもなく、そこに配属された人材に教育することなども考えられなくなっていた。
企業の情報システム部門のキャリアパスが顧みられなくなってきた時代でもある。
そして、キャリアパスはシステム子会社に移された。

弊社のソフトハウス、ベンダ、SIerへのSE教育が増加していく時代でもあった。

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